
硫酸銅系ブラックパティーナ着色比較
外装 左から
SOLTEC(品川区) 製: 「ブラックSP」
潟^イトリ(大津市)製 : 「ブラック・ナチュラル」
潟}ツムラメタル(千葉県白井市):「ブラックパティーナEX」
内橋エスティック(大阪市):「染シリーズ
ブラックパティーナ」

それぞれの薬品の色
下の画像の左のSGS-BKは当社工房で制作の自家用のブラックパテーィナ(希硝酸+二酸化セレンを配合したもので非売品)です。
SGS-BKは透明。他のものは銅イオンの色で青みがかっています。染は茄子紺色の濃い色です。

着色実験開始 - 試料の制作
サンプルガラスは、黒さが分かりやすいように
スペクトラム社の SP385-2(やや薄いグレー)を使用しました。
半田は60/40、ペーストは「ノコロデ」です。

着色前に
半田作業時に使ったノコロデ・ペーストの油分を取るため、固形石鹸をスポンジにこすりつけ、お湯を使いながらそれぞれの試料を良く洗いました。
中性洗剤ではなく固形石鹸を使ったのはそちらのほうが良く取れるからです。
着色方法:今回は次のような方法を行いました
筆を使う → 塗布の後、放置 →ワックスを掛ける
→ 乾拭き
パティーナの塗布には歯ブラシ型の筆を使いました。布ですと
擦る加減が難しく、
せっかく黒くしたところを剥がしてしまうことがあるなどがその理由です。
二酸化セレン系のブラックパティーナの場合は、
布やスチールウールにブラックパテーナを付け、黒くしたいところを磨くようにして何度も擦りますが
硫酸銅系のパティーナは、そのようにすると色むらが生じました。

上が結果です。画像をクリックすると拡大されます。
どれもある程度黒くなるのですが、この段階では真っ黒という訳ではなく、グレーです。
SPは他に比較してやや浅いグレー。EX、染、NTL(ナチュラル)はほぼ同じような結果ですが
黒さという点で、強いて言えばナチュラルに軍配が上がるようです。
二酸化セレン入りのSGS-BKは塗布後、直ぐに赤茶色のよごれが出ました。
内橋の染は、一瞬大きな色ムラができましたが、筆で再度こすると均一の黒さに戻りました。
当社工房特製のSGS-BKは、このやり方ではナチュラルよりややグレーがかっています。

今回は、半田してから、パティーナ作業までの時間が少なく
どのパティーナでもそこそこの黒さにはなりました。
しかし半田してからパティーナまでの時間が長いと、半田表面が酸化したり、手やペーストの油分が薄い皮膜状になり、
これが原因でムラのある着色になったり、またきれいに染まらないことがあります。
この場合は、洗剤で油分を取る脱脂や、酸化皮膜を取る脱酸が必要となります。
スチールウールで、金属表面をむき出しにする。布で良く磨く。洗剤で油分を取るなどの下準備が大切になります。

下の画像は、着色後1時間ほど放置してから、ワックスを掛けたものです。
光の具合で見えにくいかと思いますが、つやつやして「どれがどれ」と言えない感じです。
軽く乾拭きして作業終了。

なお二酸化セレン系のブラックパティーナを使用した場合は、パティーナ着色後、直ちに水洗いを行いその後、乾拭きします。
放置すると、ガラスの表面がブラックパティーナで酸化され、銀化したような薄い皮膜が生じるからです。
参考(勝手リンク):↓薬局で硫酸銅を求め、ご自分でパティーナを作られたある工芸家のお話
http://lumiere-luce.seesaa.net/article/8731662.html
硫酸銅の濃度により、結構色が変わるもののようです
2007/03/04・05
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